東京高等裁判所 平成11年(行ケ)265号 判決 2000年6月06日
原告
エヌオーケー株式会社
代表者代表取締役
【A】
訴訟代理人弁理士
【B】
被告
特許庁長官【C】
指定代理人
【D】
同
【E】
同
【F】
同
【G】
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1 原告
特許庁が平成9年審判第14259号事件について平成11年7月9日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告
主文と同旨
第2当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
原告は、昭和63年11月25日にした実用新案登録出願(実願昭63-153415号)の一部を分割し、平成6年5月23日付けで新たな実用新案登録出願(実願平6-6865号)をし、同日付けで、この出願を、発明の名称を「アキュムレータ用ブラダの製造方法」とする発明(以下「本願発明」という。)として特許出願(特願平6-130866号)に変更したところ、平成9年7月14日に拒絶査定を受けたので、同年8月21日に拒絶査定不服の審判を請求した。
特許庁は、同請求を平成9年審判第14259号事件として審理した結果、平成11年7月9日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本を同月26日原告に送達した。
2 本願発明の要旨(別紙図面参照)
弾性材料層(11)及びガス遮蔽層(12)を備えたアキュムレータ用ブラダの製造方法において、前記両層(11)(12)を積層成形し、次いで、前記両層(11)(12)の周縁部を纏めて切断除去することを特徴とするアキュムレータ用ブラダの製造方法。
3 審決の理由
別紙審決書の理由の写しのとおり、本願発明は、実願昭61-5498号(実開昭62-117358号)のマイクロフィルム(以下「第1引用例」という。)及び特開昭59-91045号公報(以下「第2引用例」という。)各記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に該当し、特許を受けることができないと認定判断した。
第3原告主張の審決取消事由の要点
審決の理由1は認める。同2は、3頁1行ないし4頁7行及び5頁2行ないし6頁1行を認め、その余は争う。同3、4は争う。
審決は、第1引用例の記載を誤認した結果一致点の認定を誤り(取消事由1)、第2引用例記載の発明の技術内容を誤認し、また、本願発明、第1、第2引用例各記載の発明の技術的課題及び技術分野の違いを看過した結果相違点についての判断を誤った(取消事由2)ものであって、この誤りが結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、違法として取り消されるべきである。
1 取消事由1(一致点の認定の誤り)
審決は、第1引用例の第3ないし第5図などを根拠として、第1引用例に「ダイアフラム(判決注・「ダイヤフラム」ともいうものと認められる。)本体23とシート状部材22とを積層して形成すると共にダイアフラム本体23の端面とシート状部材22の端面とを面一に形成するアキュムレータ用ダイアフラムの製造方法」が記載されていると認定したが、誤りである。
第1引用例の第3ないし第5図は、シート状部材22を全面に設ける態様とした場合は、ダイアフラムの変形範囲が小さい範囲に制約されてしまう従来例として説明されているにすぎず、同引用例自身が排斥しているものであるから、そこに審決認定の製造方法が開示されているということはできない。
このことは、本願発明が、ガス遮蔽層を有さない箇所が少しでも存在するとその箇所からガス透過が起こる問題を解決しようとするものであるのに対し、第1引用例の第1図等では、ガス遮蔽層を有さない箇所を積極的に設けて、ダイアフラムの変形性を確保しようとしており、この点で両者が大きく相違していることからも裏付けられる。
2 取消事由2(相違点についての判断の誤り)
(1) 審決は、第2引用例記載の発明は、ゴム層及び基布層を「積層成形」していると認定したが、誤りである。
本願発明は、積層成形されており、そのガス遮蔽層は、ガス遮蔽層を挟んだ弾性材料層を明確に仕切っている。ところが、第2引用例記載の発明は、成形時において、ゴム材が基布の織目に入り込み、基布を挟んだ両側のゴム材が渾然一体となるものであって、本願発明と異なり、これを「積層成形」されたものということはできない。その証左として、第2引用例は、基布を埋設するとの表現を使用し、積層するとの表現を使用していないのである。
(2) 第2引用例記載の発明を第1引用例記載の発明に適用することは困難である。
ア 本願発明の技術的課題は、平板状の樹脂膜・金属箔等からなるガス遮蔽膜を湾曲成形する際、端部に皺が発生すること及びガス遮蔽層と弾性材層が面一にならないことに起因するガスの漏洩を防止しようとすることである。
第1引用例記載の発明の技術的課題は、耐気体透過性を維持しながらダイアフラムの変形範囲を大きくしようとすることである。
第2引用例記載の発明の技術的課題は、ダイヤフラムのフランジ部のゴム材肉厚中に基布を深く埋設できない致命的欠陥を取り除こうとすることである。
以上のとおり、第1、第2引用例のいずれにも、本願発明の技術的課題は開示されていない。
イ ガス遮蔽層を備えたアキュムレータ用ブラダと基布入りダイヤフラムとは技術分野を異にするから、第1引用例記載の発明と第2引用例記載の発明とを組み合わせる必然性は存在しない。
アキュムレータ用ブラダは、ブラダの中に窒素ガスを封入して流体の脈動を吸収するために使用するもので、ブラダからのガスの漏洩はアキュムレータの性能を大きく左右するものである。特に、積層形のブラダは、アキュムレータの中でも、ブラダからのガス透過を極めて小さく押さえることを強く要求されるタイプのものである。一方、第2引用例の基布は、全くガス遮蔽性を示さないものである。
ガス遮蔽性を全く示さない基布を埋設したダイヤフラムの技術を、ガス透過に対する配慮が必要なアキュ-ムレータ用ブラダ技術分野の中でも、特に高度のガス遮蔽性を要求されるガス遮蔽層を設けたブラダに適用する必然性は、全く存在しないのである。
ウ 被告は、【H】外1名編著「パッキン技術便覧(修正版)」産業図書株式会社昭和44年7月25日発行の第11頁及び第25頁(以下「乙第2号証刊行物」という。)を根拠として、基布が埋設されたダイヤフラムがアキュムレータに使用されるから、第2引用例記載の発明は、第1引用例記載のアキュムレータ用ダイアフラムの製造方法に関する発明と同じ技術分野に属するものであると主張する。
しかし、本願発明に係るアキュムレータ用ブラダは、通常100kgf/c㎡G前後の過酷な使用条件を想定しているものである。
一方、乙第2号証刊行物でアキュムレータに使用されると記載されているのは、平形ダイヤフラムのうちの板形ダイヤフラムであり、その変形量が小さく、小型で使用条件が過酷でない箇所に適用されるものであるから、本願発明のように、ブラダ内に窒素ガスを封入して流体の脈動を吸収するアキュムレータ用ブラダに適さない。
このように、本願発明と、アキュムレータに使用される平形の板形ダイヤフラムは、技術分野が異なるのである。
第4被告の反論の要点
1 取消事由1(一致点の認定の誤り)について
第1引用例のような特許文献には、特許請求の範囲に記載された特許を受けようとする発明のほかにも、通常、当該発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、欠点を有するとされる従来技術や関連技術等の発明も記載されている。そして、特許文献に記載されているこれらの発明は、現行技術からみて実現不可能なものであるというような場合を除いて、いずれも特許法29条でいう「刊行物に記載された発明」として認定することができるものである。
したがって、第1引用例の第3ないし第5図に示される従来技術は、原告主張に係る欠点を有するものであるとしても、第1引用例記載の発明として認定して何ら問題ないのである。
2 取消事由2(相違点についての判断の誤り)について
(1) 特許庁編「技術動向シリーズ特許からみた積層体技術」社団法人発明協会昭和55年10月20日発行の223、224頁(以下「乙第1号証の1刊行物」という。)には、ゴム材料を含む積層体の例として「ゴム/布積層体」が挙げられ、ゴムからなる積層体の国際特許分類であるB32B25/02には「それの中に埋め込まれた・・・繊維・・・をもつもの」が分類されている記載がある。また、特開昭62-179937号公報(以下「乙第1号証の2刊行物」という。)及び特開昭63-94833号公報(以下「乙第1号証の3刊行物」という。)には、織物からなる基布がゴムに埋め込まれたものが「積層ゴム布」及び「積層シート」として記載されている。
したがって、第2引用例記載の基布がゴム材に埋設されているものを積層体として捉えることに何ら不正確なところはない。
また、いずれにしても、審決が第2引用例記載の発明を引用した主なねらいは、ゴムと基布との二部材からなるダイヤフラムを成形した後「周縁部を纏めて切断除去する」点にあり、本願発明のその余の構成は、第1引用例にすべて記載されているから、第2引用例記載のゴムと基布との二部材が積層成形されたか否かは、審決の判断に影響しない。
(2) 乙第2号証刊行物には、ダイヤフラムは、合成ゴムと布類とを組合わせたものが最も一般的に用いられていることが記載され、また、その用途に関しては、アキュムレータに使用されることが記載されている。
したがって、第2引用例記載の基布入りダイヤフラムは、本願発明に比してガス遮蔽性の点で劣るかもしれないものの、アキュムレータに使用することが可能なものであるから、第1引用例記載のアキュムレータ用ダイアフラムの製造方法に関する発明と同じ技術分野に属するということができる。
そして、第1引用例記載の発明と第2引用例記載の発明とを組み合わせることを妨げるような特段の事由も見当たらないから、両者を組み合わせることは、当業者が容易に想到し得る事項の範囲内にあるというべきである。
第5当裁判所の判断
1 取消事由1(一致点の認定の誤り)について
(1) 第1引用例に、アキュムレータに使用する耐気体透過性を向上させることのできるダイアフラムに関連して、第3ないし第5図等につき、審決の理由3頁10行ないし4頁7行の認定に係る記載があることは当事者間に争いがない。そして、第1引用例の上記記載に係るアキュムレータ用ダイアフラム(以下「第1引用例の従来例」という。)は、人工の物であって、製造不可能とも考えられないから、第1引用例には、第1引用例の従来例の製造方法(以下「第1引用例の従来例方法」という。)が記載されているものというべきである。上記第1引用例の従来例方法は、「ゴム等の弾性体からなるダイアフラム本体23及び耐気体透過性を有するシート状部材22を備えたアキュムレータ用ダイアフラムの製造方法において、ダイアフラム本体23とシート状部材22とを積層して形成すると共にダイアフラム本体23の端面とシート状部材22の端面とを面一に形成するアキュムレータ用ダイアフラムの製造方法」、すなわち、審決が、審決の理由4頁14行ないし5頁1行において第1引用例に記載されていると認定した発明であることは明らかである。
以上の事実を前提とし、これに甲第5(本願発明に係る平成9年9月22日付け手続補正書)、第6(本願発明に係る特開平8-68401号公報の一部)及び第7号証の各記載及び弁論の全趣旨をも加えて総合的に考察すれば、本願発明と第1引用例の従来例方法(審決が「第1引用例記載の発明」と呼ぶもの。)とを、「弾性材料層及びガス遮蔽層を備えたアキュムレータ用ブラダの製造方法において、前記両層を積層成形すると共に前記両層の端面を面一に形成するアキュムレータ用ブラダの製造方法。」である点で一致するとした審決の認定に誤りはないものと認められる。
(2) 原告は、第1引用例の従来例は、ダイアフラムの変形範囲が小さい範囲に制約されてしまう従来例として説明されているにすぎず、同引用例自身が排斥しているものであるから、製造方法が開示されているということはできないと主張する。
しかし、甲第7号証によれば、第1引用例には、第1引用例の従来例について、原告主張に係る欠点を有するとの記載はあるものの、実施不可能としているものではなく、かえって、「第3図~第6図に示すように・・・構成することが採用されて」(2頁12行ないし16行)いる、すなわち、従来技術として採用されている構成であるとの趣旨の記載があることが認められる。そうである以上、第1引用例に接した当業者は、第1引用例の従来例について、原告主張に係る欠点はあるけれども、なおアキュムレータ用ブラダとして採用することが可能であると認識し、同時に、アキュムレータ用ブラダを第1引用例の従来例のように製造する方法(第1引用例の従来例方法)があるとも認識するというべきである。原告の主張は、採用することができない。
2 取消事由2(相違点についての判断の誤り)について
(1) 第2引用例記載の発明について
乙第1号証の1ないし3によれば、乙第1号証の1刊行物には、「ゴム材料を含む積層体には・・・などがある。中でも出願件数の多いものは・・・ゴム/布積層体の5種である。」(223頁右欄下から4行ないし224頁左欄5行)、「ゴム材料を含む積層体の出願状況を、国際特許分類B32B25/00の分類展開に従って各種材料との積層状況について調査したのが、第7-1-23図である。」(同頁左欄8行ないし12行)、「図7-1-23・・・25/00 本質的に天然または合成ゴムからなる積層体 25/02 ・※それの中に埋め込まれた・・・繊維・・・をもつもの・・・25/10 ・※繊維層または繊条層に隣接したもの」(同頁右欄)の記載があること、乙第1号証の2、3各刊行物には、織物からなる基布がゴムに埋め込まれたものが「積層ゴム布」(乙第1号証の2刊行物)ないし「積層シート」(乙第1号証の3刊行物)と記載されていることが認められ、以上の記載によれば、織物からなる基布がゴムに埋め込まれたものは、普通は、積層体と呼ばれていることが認められる。そうすると、第2引用例記載の発明のように織物からなる基布がゴムに埋め込まれたものは、たといゴム材が基布の織目に入り込み、基布を挟んだ両側のゴム材が渾然一体となっているとしても、「積層体」と表現されるものに属すると認められる。
一方、本願発明の特許請求の範囲の「積層成形」の記載について、本願明細書には、これを限定するような記載はないから、上記「積層成形」は、その普通の意味で使用されているものと解すべきである。
そうである以上、第2引用例記載の発明は、ゴム層及び基布層を「積層成形」したものというべきであるから、第2引用例に、「ゴム層及び基布層を備えたダイヤフラムの製造方法において、前記両層を積層成形し、次いで、前記両層の周縁部を纏めて切断除去する基布入りダイヤフラムの製造方法」という発明が記載されているとした審決の認定に誤りはないものということができる。
(2) 乙第2号証によれば、乙第2号証刊行物には、「ダイヤフラムは・・・最も一般に広く用いられるものは合成ゴムと布類との組合せである。」(11頁下から5行ないし下から3行)、「板形ダイヤフラム・・・板状でおもに・・・アッキムレータ(判決注・本願発明のアキュムレータと認める。)などに使用され・・・る。」(25頁の表1・19)との記載があることが認められ、上記記載によれば、第2引用例記載の発明の基布入りダイヤフラムは、アキュムレータ用ダイヤフラムとしても用いられることが認められる。
以上の事実によれば、第1引用例の従来例方法であるアキュムレータ用ダイアフラムの製造方法と、第2引用例記載の発明の基布入りダイヤフラムの製造方法は、技術分野が同一であるから、第2引用例記載の発明、特にその「両層を積層成形し、次いで、前記両層の周縁部を纏めて切断除去する」という技術事項を第1引用例の従来例方法に適用することは、当業者が容易にし得たことと認められる。
(3) 原告は、本願発明に係る積層形のブラダは、アキュムレータの中でもブラダからのガス透過を極めて小さく押さえることを要求されるタイプのものであることを強調したうえ、第2引用例記載の発明の基布は全くガス遮蔽性を示さないものであるから、これを特に高度のガス遮蔽性を要求されるガス遮蔽層を設けたブラダに適用する必然性は全く存在しないと主張する。
しかし、第1引用例の従来例方法と第2引用例記載の発明の技術分野が同一であることは前示のとおりである。そして、第2引用例記載の発明の「両層を積層成形し、次いで、前記両層の周縁部を纏めて切断除去する」という技術事項の適用の難易の度合いが、前記両層が、第1引用例の従来例方法のようなゴム等の弾性体と耐気体透過性を有するシート状部材であるか、それとも第2引用例記載の発明のようなゴム層及びガス遮蔽性を示さない基布層であるかの相違によって、変わるものとは認められない。
なお、原告の主張が、第2引用例記載の発明の基布入りダイヤフラムはガス遮蔽性を示さないとの主張であるとすれば、これを認めるに足りる証拠はなく、かえって、甲第8号証によれば、引用例2には、「以上述べたように本発明のダイヤフラム成形型によれば・・・成形時に加わる基布に対する張力により、基布がフランジシール面に露出することのないダイヤフラムを成形することができるもので、ダイヤフラムのシール性能を向上することができる特徴を有する」(3頁右上欄5行ないし12行)との記載があることが認められ、上記記載によれば、引用例2記載の発明の基布入りダイヤフラムは、基布層にはガス遮蔽性がないものの、ゴム層があるためにガスを遮蔽する機能があり、本願発明や引用例1の従来例に係るものとは、その遮蔽性の程度が違うにすぎないことが認められるところである。
原告の主張は、理由がない。
(4) また、原告は、第1、第2引用例には、本願発明の技術的課題が開示されていないから、第2引用例記載の発明を第1引用例の従来例方法に適用することは困難であると主張する。
しかし、第1引用例の従来例方法と第2引用例記載の発明の技術分野が同一であることは前示のとおりである。そうである以上、本願発明の技術的課題が開示されていなくとも、そのことにより第2引用例記載の発明を第1引用例の従来例方法にその具体的態様として適用することが困難となるものではない。
(5) さらに、原告は、①本願発明に係るアキュムレータ用ブラダは、通常100kgf/c㎡G前後の過酷な使用条件を想定しているものである、②アキュムレータに使用されるのは、平形の板形ダイヤフラムであって、その変形量が小さく、小型で使用条件が過酷でない箇所に適用されるものであるとして、これを前提に、第2引用例記載の発明を第1引用例の従来例方法に適用することが困難であると主張する。
しかし、上記①の事実については、本願明細書にもその旨の記載はなく、これを認めるに足りる証拠はない。また、甲第7号証によれば、第1引用例の第1ないし第6図に記載されたアキュムレータ用ダイアフラムは、平形の板形ダイヤフラムではないことが認められるから、上記②の事実を認めることもできない。原告の主張は、前提を欠くものである。
のみならず、第2引用例記載の発明に係るダイヤフラムが、板状であって、その変形量が小さく、小型で使用条件が過酷でない箇所に適用されるものであるとしても、アキュムレータ用に使用されるものである以上、その「両層を積層成形し、次いで、前記両層の周縁部を纏めて切断除去する」という技術事項を、アキュムレータ用ダイアフラムの製造方法である第1引用例の従来例方法に適用することが困難となるとは解されない。原告の主張は、この点でも理由がない。
3 以上のとおりであるから、原告主張の取消事由は理由がなく、その他審決にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
第6よって、本訴請求は、理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 山下和明 裁判官 山田知司 裁判官 宍戸充)
<編注:『※』部分は原文のとおり。>
<以下省略>